東京都練馬区の自宅で、2019年6月に当時44際の長男を刺殺したとして、殺人罪に問われていた元農林水産事務次官の熊沢英昭被告に、懲役6年の実刑判決が言い渡されました。
亡くなった長男は発達障害を持っており、気に入らないことがあると家族に度々暴力を振るい両親ともに何度もケガを負っていたようです。
事件当時、長男が隣の小学校の運動会の音がうるさいと騒いだことで、他人に危害が及ぶ可能性を感じた熊沢被告が、事件を起こしました。
熊沢被告が長年息子と向き合おうとしてきましたが、最終的に自分の手で息子を殺めてしまいました・・・
多くの人は執行猶予があるものと思っていましたが、思った以上に判決が重く驚きの声が上がっています。
元農水次官の熊沢被告に懲役6年の実刑判決が重すぎる!
2019年6月に当時44才の長男を、東京都練馬区の自宅で刺殺したとして元農林水産事務次官の熊沢英昭被告が裁判員裁判で懲役6年の判決を言い渡されました。
長男と同居を再開した2019年5月から度々暴行をうけ、身の危険を日々感じてきた熊沢被告。
長年、発達障害のある長男に寄り添いながら献身的に支えてきたことから、執行猶予付きの判決が期待されていたのですが『強い殺意に基づいた悪質な犯行』とされ、懲役6年の実刑が下されたことに、インターネット上でも驚く声が沢山聞こえています。
・息子を献身的に支えてきた父親が懲役6年で、飲酒運転で小学6年生をひき逃げした男が懲役4年なんて理不尽すぎる!
・どんな理由があれ人を殺してはいけないけど、この父親のように息子と一生懸命向き合ってもどうにもならず、娘も自殺し奥さんもうつ病。本当にやり切れない
・殺人は正当化できないけど、生きがいを持たせようと製パンやアニメの学校に通わせたり、コミケに行って一緒に出店したり、こういう自立を促す優しさには涙が出る
・池袋で事件を起こした飯塚幸三は捕まらないのに、なぜ同じ上級国民の熊沢被告は実刑が下されるのか?
・この人の場合は再犯の可能性はゼロなんだから、猶予付きでも良いのでは?
理由がどうであれ、人に手をかけることは許されない事です。
しかし、熊沢被告とその家族の今までことを振り返ってみると、執行猶予のない今回の実刑判決がとても重く感じられます。
熊沢被告が事件を起こすまで
亡くなった長男は、子供の時より発達障害との診断を受けていました。人づきあいが苦手で、中学校の時にいじめを受けて以来益々自分の殻に閉じこもるようになったという事です。
そんな長男を案じて、長男に生きがいを見つけて欲しいと製パン学校やアニメの専門学校に通わせたり、一緒にコミケに行って長男の作品を一緒に販売するなど自立を促すため、献身的に支えていました。
また長男が大学を卒業した後は就職先を探すために奔走しました。最終的に熊沢被告の兄が務める病院に勤務することができ、一人暮らしも支援しました。
順番で行けば、親が先にいなくなるのですから、障害を持った息子を残すことがとても心配だったんですよね・・・
熊沢さんはどうにかして、長男が一人でも生きていけるようにしておきたかったんだと思います。
しかし、就職先でもあまり勤務態度が良くなかったようで、上司の悪口をブログに書くなどしていたようです。そのことで勤務先からも度々連絡が入り、熊沢さんが謝罪に行くこともあったようです。
結局仕事を辞め、2019年5月に実家で同居を再開したのですが、すぐに暴力が始まります。熊沢さんが長男に『ごみを捨てるように』と言ったところ、激高し熊沢さんの髪を掴み頭をリビングの家具にたたきつけたのです。
あまりの恐怖に、その日から夫婦2人で食パンとスナックだけを持ち2階にこもって過ごしたそうです。精神科からもらった薬を飲まないと眠れない日々だったといいます。
そして、事件が起こる前の日。近所の小学校の運動会の音がうるさいと長男が言いだし、『静かにしないと殺す』と騒ぎます。
熊沢さんは『本当に事件を起こしてしまうかもしれない』と、事件に及びました。
文章にするとサラッとしてしまいますが、親が子供に手をかけるなんてよっぽどの心境だったのだと思います。自立をしてもらえるよう、ここまで親として一生懸命やって来たのに気の毒で仕方ないですよね・・・
また、自分が妻と息子2人を残して自分が先に死んでしまう事を考えたら・・
この極限の状態だったら自分でもどんな判断をすべきなのか分からないです。
精神病患者を家族に持つ人の体験談
実際に精神病患者を家族に持つ人の体験談が、とてもリアリティがありましたので、ご紹介します。
息子が精神疾患で通院しています。
好不調の波が凄く激しく、家庭内でも暴力がある。実際に殺したいと思ってしまう事が何度もあるが、何とか抑えている状況です。
この判決を聞いて、やはり精神疾患の家族を持つ辛さが全然理解されていないという事が分かりました。
テレビコメンテーターの方が知っているかのように『相談されれば解決できます!』って言っても実際には相談する場所なんてないんです。
警察を呼んでも、実際に暴れたり暴力を振るっている様子がなければ何もしてくれない。
結局は実際に起こっている家族にしか理解されないんです。
妹が統合失調症で引きこもりです。
私達家族は何度も暴力を受け、殺されるかと思う経験をしています。
保健所やかかりつけの医者に相談しても、結局はみんな他人事で何の解決にもならないんです。
本人も家族もサポートしてくれる何かを本当に作ってほしい。
自分も、もしかしたら妹に手をかけられるかも?と心のどこかでは覚悟しています。
熊沢被告に対して『なぜ公的機関に相談しなかったんだ』という意見が多数聞かれますし、おそらく今回の判決にも、どこにも相談しなかったことが影響していると思います。
でも、実際に精神疾患の方が家族にいる人の声を聞くと、相談する先が身近に無いんだという事が良くわかりました。
今回のこの事件がきっかけで、このような家庭をサポートできる仕組みやサービスが出来て欲しいなと願うばかりです。
また、社会派ブロガーのちきりんさんも今回の事件について言及しています。
これだけにっちもさっちも行かない状態に追い込まれても「行政には相談できない」と(しかも元官僚のトップが)考えた理由を、行政の担当窓口はよーく考えるべきだよね。
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2019年12月13日
まとめ
今回は、元農水次官の熊沢被告が懲役6年の重い判決を下されたことについて、ネット上の声などをまとめてみました。
熊沢被告がこれまで献身的に長男を支えてきたことを思うと何ともやりきれない思いです。
また、この事件は氷山の一角で、同じようなギリギリの状況に陥ってる家庭も多々あるのだと思います。一刻も早く、こういった家庭のサポートができる仕組みが出来て欲しいなと願うばかりです。